Twenty Things To Do With A Computer

Seymour Papart, Cynthia Solomon, “Twenty Things To Do With A Computer” MITLaboratory http://hdl.handle.net/1721.1/5836

シーモア・パパートとシンシア・ソロモンによる「コンピューターでできる20のこと」はMIT AI Lab で行われた研究を元にした一般向けの記事で、1972年のEducational Technology Magazineに掲載されました。

この記事では、プログラミングの初心者向けにコンピューターでできる様々な活動のヒントを載せています。紹介されている活動は幾何学模様を描いたり、モーターでクレーンを制御したり、詩を自動生成したり、算数の問題を作ったり、物理のシミュレーションをしたりなど多岐にわたります。技術的には今よりも多くの制限があるにもかかわらず、そのコンセプトは今でも十分に参考になります。

ここでは、記事の前書きを日本語訳して紹介します。

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コンピューターでできる20のこと

人々が教育におけるコンピューターについて語るとき、必ずしも同じイメージを持っているわけではありません。コンピューターによって子どもたちをプログラムすると思う人もいれば、子どもたちがコンピューターをプログラムすると思う人もいます。しかし少なくとも、コンピューターと子どもたちの間のやり取りが、言葉や数字によるある種の「会話」もしくは「問答」のようなものであることは多くの人が同意するでしょう。

現実の世界ではコンピューターは、たくさんの異なる方法で使われています。あるコンピューターは飛行機を飛ばすようにプログラムされています。それも人間のパイロットに何をすべきか示すのではなく、電子制御された操縦桿を引いたり、高度や対気速度、電子的に接続された様々なセンサーの値を読んだりしているのです。あるコンピューターは音楽を生み出したり、現代のパブロフが幸せに眠っている間にベルを鳴らして餌を与えて犬を条件付けしたりするようにプログラムされています。あるコンピューターは工場で旋盤や切削機を制御するようにプログラムされているし、別のものはアニメ映画を生き生きとさせるために絵を生成しています。

それではなぜ、学校のコンピューターが奇数の最初の20個を自乗した和の計算などの「問題解決」に限定して使われなければならないのでしょうか?なぜ、何か活動を生み出すために使われないのでしょうか?これは「教育におけるコンピューター」に関わる人たちが知的臆病であるためとしか考えられません。この人たちは、過去数世紀にわたり学校で教えられていることによく似た目的でないと、コンピューターの利用をかたくなに拒むようです。コンピューター科学者が知的技術革新において極めて重要な位置にいるので、この抵抗はより一層明らかになっています。計算機科学から生まれた概念 ― 「サイバネティクス」「情報理論」「人工知能」など様々に名付けられたもの ― は、生物学や心理学、さらに数理哲学における思考に深く影響を与えています。工学の分野の影響として、コンピューターは私たちの生活様式をも変えつつあります。このような中で、とても奇妙なことに、「教育におけるコンピューター」は「昔と同じ内容を、うわべだけ偽造した昔と同じやり方で教えるために、ピカピカの新しい装置を使うこと」へ矮小化するのを何度も繰り返そうとするのです。

しかし、他人ができていないことに文句をいうのが私たちの目的ではありません。ここでの私たちの目的は、今あなたが持っている(もしくは急いで買いに走ることになる)コンピューターでできる何かワクワクするようなことを紹介することです。私たちがここで示す例の半分以上が、小学校の指導プログラムで実施され、テストされています。これは、他の段階の教育において同等以上の価値を持たないということを意味するわけではありません。むしろ逆に、年齢や学力にかかわらずあらゆる人にプログラミングを、より一般的に言うと計算機科学の知識を、実のところ(批判を浴びることを覚悟して勇気を持って言うと)数学や物理学をはじめ言語学や音楽を含むすべての秩序だった教科を教える正しい方法を垣間見せてくれると確信しています。

各セクションでは、コンピューターでできることを一つずつ説明しています。多くのセクションで、コンピューターがモーターを回したり、電磁石を励起させたり、明かりをつけたり、光センサーの状態を読んだりできると仮定しています。素晴らしいことに、あなたのコンピューターがそれをできるようにするのはとても簡単です! 最後のセクションでどうやってそれをできるようにするのかを紹介しています。しかし、これを読んでいる間はそれをやる必要はありません(そしてやるべきではありません、気を散らすことになるので)。これを読み進めるうちに、あなたはLOGOというコンピューター言語を学ぶことになります。コンピューター言語を使うために、コンピューターがどのように働くのかを知る必要はありません。人に指示するために人間の脳がどのように働くかを知る必要がないことと同じで、あなたが知る必要があるのは、自分の望んでいることを適切な言語で記述することだけなのです。